メタタルサルジアとは?—「足の指のつけ根がジンジン痛い…」その足裏の痛み、放置していませんか?

「足の指のつけ根が痛い」「歩くときに石を踏んでるみたい」…そんな症状、ありませんか?

  • 足の裏、指の付け根あたりがジンジン痛む
  • 長時間立っていたり歩くと、足裏の前方がズキズキ痛くなる
  • つま先立ちをすると痛みが増す
  • 足の裏にタコができて、押すと痛い

このような症状がある場合、メタタルサルジア(中足骨骨頭部痛)が疑われます。足の裏の「つけ根部分(中足骨骨頭部)」に負担が集中して痛みが出る状態で、特に女性や中高年の方、長時間歩く方、スポーツ選手に多い足のトラブルです。

メタタルサルジアとは?

「メタタルサル(metatarsal)」=中足骨、「アルジア(-algia)」=痛みという意味です。つまり、足の指の付け根部分(中足骨の先端=骨頭)に痛みが出る状態のことをメタタルサルジアと呼びます。

この部分は、歩く・立つ・走る際に体重がかかる非常に重要なポイントです(詳細は「足のアーチについて」をご覧ください)。

そのため、構造的な問題や体重のかかり方のクセによって、特定の部分に過剰な負担がかかると炎症が起き、痛みが出るのです。

なぜ起こるの?

メタタルサルジアの主な原因は、足の前方(前足部)に過剰な負担がかかることです。

  • 開張足(足の横幅が広がっている)
  • 土踏まずの低下(扁平足)や外反母趾などの足の変形
  • ハイヒール・パンプスなど、前足部に体重が集中する靴を使用している
  • 加齢や筋力低下による足のクッション性の低下
  • 長時間の歩行や立ち仕事、スポーツでの疲労
  • 足底の脂肪組織が薄くなり、クッション性が低下している

これらの要因が重なることで、本来は足のアーチによって分散されるはずの体重の負荷がうまく分散されず、足の前方に過剰な負担がかかってしまいます。その結果、痛みや違和感が生じることにつながります。

どんな症状が出るの?

  • 足の指の付け根(中足骨骨頭部)にピンポイントの痛み
  • 長時間立っていたり歩いたあとのズキズキした痛み
  • つま先立ちやヒール靴で悪化する
  • 付け根にタコができ、押すと痛みが強い

どんな検査をするの?

1. 身体診察

  • 痛みの場所、胼胝(たこ)の有無、足指の変形を確認します
  • どこに圧痛があるか、足底のクッション性はどうかを評価します
  • 靴の摩耗や歩き方のクセから、足への負担のかかり方を観察します

2. 画像検査

  • レントゲン:中足骨の長さや骨の並び、そのほかの足の関節の変形や扁平足などの有無を確認します

どうやって治すの?(治療)

足の痛みに対する治療は、まず保存療法から始めます

多くの足のトラブルは、適切な保存療法を行うことで症状の改善が期待できます。特に、足に合った靴やインソールの調整、ストレッチや筋力トレーニング、生活習慣の見直しを丁寧に行うことが重要です。

インソールや靴の調整

足裏にある土踏まずをサポートするパッド付きのインソールは、痛みの出やすい中足骨頭部への負担を分散させ、足底への圧力をやわらげる効果があります。

また、靴の幅や長さ、ヒールの高さが合っていないと、足にかかる力のバランスが崩れ、症状が悪化する原因になります。足にしっかり合った靴選びも治療の一環としてとても大切です。

当院では、必要に応じて靴のフィッティングアドバイスやオーダーメイドインソールのご案内も行っていますので、お気軽にご相談ください。

ストレッチ・足部トレーニング

足の機能を回復させるためには、日常的に行える簡単なトレーニングも有効です。タオルギャザーや足指じゃんけんのような足指の運動は、足底筋やアーチを支える筋肉を鍛える効果があります。

さらに、ふくらはぎや足底筋膜の柔軟性を高めるストレッチを行うことで、足裏にかかる過剰な負担を減らし、バランスを整えることができます。

薬物療法

痛みや炎症が強い場合には、消炎鎮痛薬(内服や湿布)を使って炎症を抑え、症状の軽減を図ります。

また、炎症が特定の部位に集中している場合には、超音波(エコー)を用いて滑液包や神経の周囲に局所注射を行うこともあります。痛みの状態に応じて、できるだけ的確で最小限の治療を心がけています。

運動や活動量の調整

炎症や痛みが強く出ている時期には、無理な運動や長時間の歩行を控え、負担を減らすことが大切です。活動を控えることで炎症が落ち着き、回復を早める効果があります。

また、体重が足にかける負荷を増やしているケースでは、体重管理を行うことで症状が改善することもあります。無理のない範囲で、食事や日常の運動もあわせて見直していきましょう。

専門医からの一言


ササモト整形外科 副院長佐々本 丈嗣

メタタルサルジアは、「靴が合わない」「足の裏がジンジン痛む」というような、小さな不調から始まることが多い足の障害です。

放っておくと歩き方が崩れ、他の部位(膝・股関節・腰)にも悪影響が出てくることがあります。

まずは今の靴や歩き方が合っているか、インソールで調整できないかを見直すことが第一歩です。
「ちょっとした足の痛みだから…」と我慢せず、ぜひご相談ください。

参考文献

  • 日本整形外科学会. 足部・足関節疾患ガイドライン(2020年版)
  • Besse JL, et al. Metatarsalgia. Orthop Traumatol Surg Res. 2015.
  • Nix S, et al. A systematic review of foot pain prevalence, incidence and risk factors in general population. J Foot Ankle Res. 2010.

この記事の監修者について

ササモト整形外科 副院長
ささもと佐々本
たけし丈嗣

学歴・経歴

  • 金沢医科大学 医学部卒業
  • 金沢医科大学大学院 医学研究科(運動機能形態学専攻)修了、医学博士号取得
  • 大学病院で運動器疾患・最先端の手術技術を学びながら、穴水総合病院、氷見市民病院など北陸地方で地域医療に従事
  • 2025年より兵庫県高砂市にて地域に根差した医療を目指し、整形外科診療を展開

資格・専門領域

  • 医学博士
  • 日本整形外科学会認定専門医
  • 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
  • 超音波を用いた診療、肩・膝関節疾患、脊椎疾患、骨粗鬆症、地域医療に注力

診療に対する想い

患者さん一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。
科学的根拠に基づいた最適な医療を提供しながら、心の通った温かいサポートを大切にしています。
「みんなの笑顔をつなぐ医療」を実現するため、地域の皆さまに寄り添い、これからも日々努力を重ねてまいります。

趣味・活動

  • バレーボール歴20年以上
  • ランニング、マラソン挑戦中(神戸マラソン2025年出場予定)