「首の痛みやしびれ、歩きづらさ…これってただの老化?」
最近、こんな症状を感じていませんか?
- 首が痛くて動かしにくい
- 腕や手がしびれて感覚が鈍い
- 力が入りにくく、ペットボトルのフタが開けづらい
- 歩くときにつまずきやすい、足がもつれる
- 背中や腰の痛みが続いている
これらの症状がある方、**後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう / OPLL)**の可能性があります。
「後縦靭帯って何?」と思われるかもしれませんね。後縦靭帯(こうじゅうじんたい)とは、首の骨(頚椎)の後ろ側にある靭帯のことです。本来は柔らかくて関節を支える役割を持っていますが、この靭帯が骨のように硬くなってしまい、脊髄や神経を圧迫する病気が後縦靭帯骨化症(OPLL)です。
この病気は、日本人に多い病気であり、特に40歳以上の男性に発症しやすいことが知られています。「ただの首の痛みだと思っていたら、実はOPLLだった」ということもあるため、早めの診断・治療が大切です!
後縦靭帯骨化症(OPLL)とは?
後縦靭帯(こうじゅうじんたい)**とは、首の骨(頚椎)の後ろ側にある靭帯のことです。本来は柔らかく関節を支える役割がありますが、OPLLではこの靭帯が骨のように硬くなり、脊髄や神経を圧迫します。


どんな症状が出るの?
1. 首や肩の痛み
- 首や肩のこり、痛みが長引く
- 首を後ろに反らしたときに痛みが増す
- 肩甲骨周りにも違和感がある
- 寝違えたような痛みが続くことがある
2. 首や肩、腕から指のしびれ
- 首を動かしたときに腕や手がビリビリしびれる
- 肩から指先までの神経の流れが悪くなり、ジンジンする感覚がある
- 物を持つときに力が入りにくい
3. 足の症状(歩行障害)
- 足がもつれて歩きにくい
- つま先が上がらず、よくつまずく
- 階段の昇り降りが難しくなる
- バランスを崩しやすく、転倒しやすい
4. 手の症状(巧緻運動障害:こうちうんどうしょうがい)
- お箸を使うのが難しくなった
- ボタンを留めるのに時間がかかる
- 字が書きにくくなった、筆圧が弱くなる
- ペットボトルのフタを開けるのがつらい
どうやって診断するの?
1. 身体診察
症状が神経によるものなのかその他の原因によるものなのかを判断します。
痛みやしびれの範囲、筋力低下、巧緻運動障害の有無、歩行のバランスを評価します。
2. 画像検査(レントゲン・MRI)
- レントゲン:頚椎の変形や骨棘の有無を確認します
※症状が強い場合はMRI検査にて脊髄がどの程度圧迫されているかを詳しくチェックします。
どうやって治療するの?(治療・対策)
神経の症状は適切な治療を行えば症状を緩和したり、進行を遅らせることが可能です!
1. 保存療法(手術をしない治療)
消炎鎮痛薬(NSAIDs)などのお薬で痛みを和らげたり炎症を軽減させます。
リハビリで首の動きを改善させ、疼痛を緩和したり手足の機能を維持します。
2. 手術療法(症状が進行した場合)
次のようなケースでは、手術が検討されます。
- 歩行障害が悪化し、転倒しやすくなっている
- 手の動きが極端に悪くなり、ものが持てない字が書けなくなっている
- 痛みがあまりにも強く日常生活が困難になっている
手術では、頚椎の圧迫を取り除き、脊髄への負担を減らすことが目的となります。
専門医からの一言


「首が痛いし、手や足もしびれる…でも、歳のせいかな?」実は、その症状、後縦靭帯骨化症(OPLL)が原因かもしれません。
この病気はゆっくり進行することが多いですが、放置すると歩けなくなることもあります。
しかし、早めに対処すれば、進行を抑えたり症状を軽減することが可能です!
「最近手や足が動かしにくい」と感じたら、早めに受診し、一緒に治療を進めていきましょう!
参考文献
- Endo T, Takahata M, Koike Y, et al. Association between obesity and ossification of spinal ligaments in 622 asymptomatic subjects: a cross-sectional study. J Bone Miner Metab. 2022;40(2):337–347.
- Matsunaga S, Sakou T, Taketomi E, Komiya S. Clinical course of patients with ossification of the posterior longitudinal ligament: a minimum 10-year cohort study. J Neurosurg. 2004;100(3 Suppl Spine):245–248.
- Wu JC, Chen YC, Liu L, et al. Conservatively treated ossification of the posterior longitudinal ligament increases the risk of spinal cord injury: a nationwide cohort study. J Neurotrauma. 2012;29(3):462–468.
この記事の監修者について
学歴・経歴
- 金沢医科大学 医学部卒業
- 金沢医科大学大学院 医学研究科(運動機能形態学専攻)修了、医学博士号取得
- 大学病院で運動器疾患・最先端の手術技術を学びながら、穴水総合病院、氷見市民病院など北陸地方で地域医療に従事
- 2025年より兵庫県高砂市にて地域に根差した医療を目指し、整形外科診療を展開
資格・専門領域
- 医学博士
- 日本整形外科学会認定専門医
- 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
- 超音波を用いた診療、肩・膝関節疾患、脊椎疾患、骨粗鬆症、地域医療に注力
診療に対する想い
患者さん一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。 科学的根拠に基づいた最適な医療を提供しながら、心の通った温かいサポートを大切にしています。 「みんなの笑顔をつなぐ医療」を実現するため、地域の皆さまに寄り添い、これからも日々努力を重ねてまいります。
趣味・活動
- バレーボール歴20年以上
- ランニング、マラソン挑戦中(神戸マラソン2025年出場予定)